Seminar in World Literature

英文学科世界文学ゼミ(「加太(かぶと)ぜみ」)の案内ページです

このブログについて(各記事への案内)

こちらは Seminar in World Literature(「加太(かぶと)ゼミ」)の案内ページです。

随時更新を予定しています。

以下の目次をご参考になさってください。

ゼミの概要

ゼミ見学(1)

ゼミ見学(2)

ゼミ見学(3)

よくある質問

学生

受講生、卒業生の声

これまでの卒業論文

卒業後の進路

卒業論文中間報告会

担当教員

担当教員について

〔教員の研究活動〕日本ヴァージニア・ウルフ協会全国大会シンポジウム

物語を読むときに重要なこと

 物語を読むときに重要なのはなにか……もちろんいろいろあるに決まっています。

その一方で、誰にでもできるはずだし誰でもまずやるべきこともあります。

戯曲にしろ小説にしろ(叙事詩とか、映画とかアニメとか、物語であればなんでも)、ほとんどの場合は複数の人物が出てきてそれぞれが何かを行います。

その人物の関係性を適切に把握することです。

そのために最も便利な方法は、人物相関図を作ることです。

 先回の3年生ゼミでは『ワーニャ伯父さん』でそれを行いました。

特に外国文学だと、馴染みのない名前が多く出てきて、誰が誰だかわからなくなって最初の方で放り出したくなることが(日常の読書でも大学などでの学術的な読解でも)少なからずあると思います。

はじめのうちは地道に人物相関図を作ってそれを傍らに置き、軌道に乗るまでゆっくり読み始めるというのはおすすめです。

 関連して大事なことはいろいろありますが、それはまた機会があるときに。

『ワーニャ伯父さん』の人物相関図を力を合わせて作成中。情報を足したり引いたり直したり。

 

食事会

 2年生のみなさま、ゼミ希望調査への回答ありがとうございます。

当初ゼミ選択での情報提供を目的に立ち上げたブログですが、ゼミ生や卒業生にもまあまあ楽しみにもらっているらしい(?)ので、というのもありますが、私にとっても良い記録になると感じているので、もうしばらく続けてみようかと思います。

 先日はゼミ生の食事会に混ぜてもらいました。

義務感もなく、そのときに来られる人だけ来るというほどよい距離感がこのゼミの特徴かなと思います。

学生が盛り上がっているのを横で見守って聞いているというのが教員らしい振る舞いかなと思いますが、1日3コマ続けた後で「話すモード」になっていたので、めちゃくちゃしゃべってしまいました。

大盛満腹系のお店にて、定食を喰らう学生を横目に私は一品料理と烏龍茶……



〔教員の研究活動〕日本ヴァージニア・ウルフ協会全国大会シンポジウム

 担当教員の加太が、日本ヴァージニア・ウルフ協会全国大会で研究報告を行いました。

「ソーシャルなものを多様に構想する — 世紀転換期から戦間期にかけての英国の科学と文学」と題したシンポジウムで登壇者として話しました。

題目は「「社会主義の問題は主として規模の問題である」 — 大きさおよび距離に注目してウルフとJ・B・S・ホールデインとを合わせ読む」でした。

 1910〜20年代に活躍したイギリスの作家ヴァージニア・ウルフと、同時期に活動した生物学者J・B・S・ホールデインとのテクストを、大きさおよび距離の効果やその相対的な変化といった点に着目して合わせ読むものでした。

くしくも、4年生の卒業論文中間報告会と同じ週に同じような気持ちを味わったことになります。

ということは、私もこの報告内容をちゃんと論文の形にして世に問わないといけないですね。

 会場の福岡大学は立派なところで、他の研究報告や質疑応答から大いに学ばせていただいた1日となりました。

他の仕事でもあわただしい時期だったのであまり下調べもできず、観光を楽しむとはいきませんでしたが、名物の皿うどんが食べられたのはうれしかったです。

卒論中間報告会での4年生と同じようにがんばりました。

 

卒業論文中間報告会

 4年生の卒業論文中間報告会が行われました。

 11月のこの時期はもう佳境で、かなり具体的な議論の段階にまで入っています。

4年生にとっても「大事な自分の卒業論文」という気持ちになってくる時期で、どうにか自分オリジナルの、良いものにしたい、という意欲が伝わってきました。

教員としてもなんとかサポートしたいという気持ちになります。

 大学での学びの集大成ですし、自分が手を動かして一生懸命考えたことをまとまった形でアウトプットできる機会というのはとてもかけがえのないものです。

思う存分、楽しみながらかき上げてもらいたいと思っています。

報告を聴いて、3年生もソワソワしてきたようです。

報告者もそれを聴くゼミ生も真剣です。

 

ゼミ見学(3)

 先週は2回目のゼミ見学で、参加の2年生も交えて実施しました。

後半は図書館ガイダンスで、今度改めてそのお話もするかもしれません。

この週からロシアの戯曲家、短編作家であるアントン・チェーホフの『ワーニャ伯父さん』を扱うのですが、前半では基本的な事項について確認し、また議論を行いました。

 

 チェーホフはロシアでよく知られているだけでなく、同時期のイギリスなどヨーロッパ諸国の文学にも大きな影響を与えました。

また、『ワーニャ伯父さん』は、村上春樹の短編「ドライブ・マイ・カー」の着想源かつ短編中で大きな役割を果たしており、この短編が濱口竜介監督によって『ドライブ・マイ・カー』として映画化されたことも記憶に新しいかもしれません。

『ドライブ・マイ・カー』への影響に留まらず、チェーホフは日本でも人気の作家で、『かもめ』『桜の園』『三人姉妹』に『ワーニャ伯父さん』で四大戯曲として知られる作品群はしょっちゅう上演されています。

 

 そのようなわけで、今年度の3年生の後期はいかにも世界文学っぽい内容となります。

うまくいくか楽しみです。

 

登場人物や舞台設定、戯曲の構造についてグループごとに確認しています。

 

大学の学びが何になるのか

 初代ゼミ長(2024年卒業)のIさんからゼミについての文章をご寄稿いただきました。

こちらをご覧ください。

 これは私もいろいろな機会に言っているのですが、大学での学びが卒業後のキャリアでどう役に立つのかという心配する必要は、基本的にありません。

きちんとインプットしてきちんとアウトプットする、これはどの業界のどんな仕事でも変わらないですし、どの分野のどんなゼミで学ぼうと必要になることだからです。

ですから、「何の役に立つの?」の答えのひとつは、(どのゼミであるかにかかわらず)目の前の学修、研究課題に徹底的に取り組んでいれば、その経験や成果はあらゆる場面で役立ちますよ、というものになります。

 Iさんの文章は、それを裏付けて安心させてくれる内容になっているかな、と思います。

いずれにしても、責任の大きい仕事、今後さらなるご活躍を期待しています!

よくある質問

 先日のゼミ見学の際に、見学者からいくつかご質問が寄せられました。

これからゼミの選択希望を出すみなさんに役に立つ情報もあるかもしれないと思い、こちらのエントリーにまとめています。

 

Q1 ゼミというのは授業と何が違うのでしょうか。

A1 とても重要な問いですね。

そして、答えを与えられることのないままゼミを選択しろなどと言われて、実は困っている2年生も多くいらっしゃるのかもしれません。

 ゼミによっても答えが少し変わってくるかもしれませんが、私なりに回答します。

 ゼミというものが通常の授業と大きく異なるのは、少人数の同じメンバーで2年間学ぶという点ではないかと思います。

ですから、ゼミ生どうしもお互いをよく知ることができますし、ゼミ生と教員との間でも同じです。

これは、よりきめ細かな指導につながったり、ゼミ生どうしでお互いに刺激を与え合って切磋琢磨できる環境につながったりします。

たとえば教員側としては、3年生の1年間をともにした上で、4年生で扱う題材の方向性を考え直すなどといったこともできます。

現時点でこのような能力や課題を持っているから、2年後までにはこういったことを達成できるようにがんばったらどうか、などと長期的な目標について相談したりすることもできます。

当然、ゼミ生どうしでそういった個々の取り組みを共有し、各々が2年間で達成したいことをお互いにサポートするということもできる、というか、それができれば理想的です。

より実際的なところでは、就職活動とゼミ活動との折り合いも付けやすい(この時期は就活に集中する分、この時期にゼミ活動に力を入れようなどの相談が柔軟に可能になる)ということも挙げられます。

 別の言い方をすれば、ゼミというのは2年間をともにするコミュニティーであるということがもっとも重要な点かもしれません。

卒業後もそのつながりはなんらかの形で続きます。

(もちろん、強制ではないですから一線を引いた付き合いというものもじゅうぶん可能です。)

また、ゼミは教員の色が出ますので、私の考え方などが反映されるところがあります。

私自身、大学というのはある程度独立した個人どうしが互いにリスペクトを持ち、必要があれば助け合う場、と捉えていますので、私のゼミの方もほどよい距離感で仲良くやっているという印象です。

 そして最後に、ゼミの雰囲気という点で大事なのはゼミ生自身です。

これは、教員の持つ影響力より大きいのではないかと思います。

私がまだ着任3年目ということもあるのか、良くも悪くもまだゼミの色が付いていないという感じがあります。

今のところ3年度分のゼミを見てきましたが、年度によって雰囲気は実に多様だなと感じていて、おそらくそれは良いことなんだろうという印象を持っています。

 答えになっているでしょうか?

 

Q2 本日は講義のような形式ですが、ゼミ生の報告会では担当範囲などどのように決めているのでしょうか。

 これは私も他の先生方のやり方が気になるところですが、私はゼミ生に任せています。

全部で○ページあるから、これをゼミ生全員で何日から何日の間でうまく割り振ってね、という依頼をゼミリーダーチーム(各学年3人います)に対して行います。

それでゼミリーダーが決めてくれた結果を知らせてもらい、不具合や不明点があれば随時教員とゼミ生とで再調整する、という感じです。

 研究報告会の順番なども同じような感じです。

報告順や担当範囲を含めた運営については、ゼミ生の方でできる部分は任せている、という感じでしょうか。

 

Q3 卒業生の方の卒論のテーマについて伺いたいです。

 具体的な題目についてはこちらのエントリーをご覧ください。

基本的に、扱いたいものを扱ってほしいというやり方なので、いかにも世界文学らしい『千夜一夜物語』や、やや社会科学的な志向でエイズアクティビズムについて扱ったもの、ディズニー作品のプリンセス像を扱ったもの、フランダースの犬の原作とアニメ版とを比較検討したものなどとても幅広いです。

いわゆる正典(canon)と呼ばれる王道の文学作品(ジョージ・エリオット、E・M・フォースター、ヴァージニア・ウルフエドガー・アラン・ポージョン・スタインベック)が少なからずあるのも特徴的でしょうか。

いくらなんでも幅が広すぎるのではないか、という批判もあるかもしれませんが、一応私の言い分としては、このゼミの特徴が出るのは扱う作品の種類というよりは、作品について考察して論文にまとめ上げるまでのアプローチだということが言えます。

ですので、対象となる作品はさまざまであっても、それぞれの卒業論文を読んでいただければ、どれもこのゼミらしいものになっているという感想を抱かれるのではないかと思っています。

Q4 卒業論文執筆はいつから始まりますか。

 2年間ある中で、卒業論文の対象作品を本格的に決めてもらうのがだいたい3年生から4年生に進級する春休みで、このときに面談もしながら方向性を定めます(これはゼミによって異なると思います)。

3年生の間はなるべく視野を広げてもらい、その中でだんだんと自分の関心の所在を意識してもらいたい、という方針です。

担当教員が、リーズ(イングランド)での研究報告会において前の方のご報告を拝聴しているところです。私はいつも準備不足なので、たいへん残念ながら前の人のお話があまり頭に入ってきません……