Seminar in World Literature

英文学科世界文学ゼミ(「加太(かぶと)ぜみ」)の案内ページです

ゼミ見学(2)

 10月22日にゼミ見学が行われました。

(なお、次回は10月29日(2時50分〜3時30分頃、6号館404教室)に見学可能です。ご参加をご検討の場合は事前にご相談ください。また、火曜4限には他にも多くの科目が開講されているため、サボらない限り見学に行けないという方もいらっしゃるかと思います。そのような場合にはぜひメールでご相談ください。ゼミの様子を録画してお渡ししたり、あるいは私が担当している他の科目の様子をご覧いただくこともできます。)

 

 見学者からいくつか質問も寄せられました。

そちらについてはゼミ選択の参考になるかもしれないので、別のエントリーにまとめてご回答したいと思います。

 

 この回は、前週までの内容のまとめをしつつ、文学・文化作品へのアプローチの方法について批評理論と呼ばれるものを中心にお話ししました。

作品の導入とかまとめの回にはこのように教員が講義をするような場合があり、学期に2、3回です。

あまり日頃の様子は伝わらないかなとも心配したのですが、ただ3年生から専門的な内容に進む上で(文学、文化系のゼミを取る際は特に)役に立つ情報でもあるかと思いますので、見学者のみなさまにもなんらかの形で有意義な時間になっていればと思います。

 

 

この日は担当教員の講義が中心の回でした。こういうときも学期に2〜3回あります。



 

ゼミ見学(1)

 私たちは10月22日の4限にゼミ見学を歓迎しています。

6号館の404教室にいらしてください。

(※10月29日、11月5日も見学可能ですが、卒業論文の中間報告会や図書館ガイダンスなど、やや特殊な形態で行われますので、こちらへのご参加をご検討の場合は特に事前にご相談ください。)

 

 学科から配られているゼミ案内に書かれているように、教室の用意などの関係で事前にご一報いただければ幸いです。

連絡先は配布のゼミ案内に載っています。

 

 また、火曜4限には他にも多くの科目が開講されているため、サボらない限り見学に行けないという方もいらっしゃるかと思います。

そのような場合にはぜひメールでご相談ください。

ゼミの様子を録画してお渡ししたり、あるいは私の空いている時間に直接お話しするということもできます。

 

互いの成果物について講評し、それを聴いている受講生です。手前の学生はスマートフォンで遊んでいるわけではありません。いろいろなデバイス臨機応変に活用することもますます重要な時代になってきました。

 

担当教員について

 担当教員について、業績や経歴など詳しくは researchmap をご覧ください。

 担当教員の専門は20世紀前半のブリテン諸島(国で言えばアイルランドおよびイギリスに当たる)です。したがってこの時期、地域に生まれ/読まれた作品については強みをもって指導できます。例えば、以下の作家などが考えられます。

アイルランド詩人イェイツ(W. B. Yeats)の諸作品
スコットランド出身の作家バリ(James Matthew Barrie)による作品(『ピーター・パン』など)
・ドミニカ出身の小説家リース(Jean Rhys)による作品(『おはよう、真夜中』など)
ニュージーランド出身の作家マンスフィールド(Katherine Mansfield)による作品(「至福」など)
・この時期に英訳がよく読まれたもの(紫式部の『源氏物語』やチェーホフの作品など)

また、この前後の時期(19世紀後半、20世紀後半〜現在)や同時代の周辺領域についても取り組んでいます。

 上記はあくまで、ありうる幅の広さを示すための例です。英語で(原作あるいは翻訳が)書かれた作品はゼミで扱う対象になりますので、これらに含まれていなくても卒業論文などで扱うことは可能ですし、また逆に、これらをどのように扱うかということが同じくらい重要になってきます。ご自身の関心に沿うかどうか、あるいはゼミで研究対象として扱ってよいかどうか不安な場合は、ぜひ事前にご相談ください。なお、実際にこれまで扱われた作品や主題については卒業論文のエントリーもご覧ください。

IASIL Japan(国際アイルランド文学協会日本支部)での口頭報告の様子です。あまりしっかりした人間ではないため、学会報告はほとんどの場合寝不足で臨んでいます……

 

卒業後の進路

受講生によってキャリア選択は多様で、年度によってキャリア志望の傾向もさまざまです。

2024年3月卒業生

・国家公務員

・地方公務員(都道府県、市区)数名

・大学職員

・中学校教員(英語)

・一般企業(建設、アパレルなど)数名

・ワーキングホリデー(カナダ)

若いゼミなので卒業生はまだ1年しか出ていませんが、それぞれの場でご活躍なさっています。



これまでの卒業論文

 このゼミでは2024年3月に最初の卒業生を送り出しました。これからこの一覧が積み上がっていくことが楽しみです。

 以下のように、卒業論文で扱われている作品は地域やジャンルもさまざまです。

 

2024年3月卒業生

The Notebook における恋愛の障壁の作用 — ノアとアリーの身分違いの恋 -

・The Party and Frock Consciousness: Fashion in Virginia Woolf's Mrs. Dalloway

・19世紀イギリスの非西洋に対するまなざし — バートン版『千夜一夜物語』に登場する動物の描写と女性の社会的役割

・「呼びかける」ことに危険は伴わないのか — エイズアクティビズムの功績の裏にある排除性に着目して

・Cathy/Kate は East of Eden において「汚点」なのか — スタインベックの造形する女性人物

A Dog of Flanders 及びアニメ版『フランダースの犬』に見るマイノリティー — 犬と女性の権利向上と作品の変貌

・ムーランやモアナたちが追い求める「本当の自分」 — 21世紀を生きるディズニープリンセスの変化

・ラディスローを選んだのはなぜか  —  ジョージ・エリオット『ミドルマーチ』におけるドロシアの2度の結婚

・男と黒猫を分断する壁の崩壊 — 1820~40年代ポー作品に表れる南部の奴隷制存廃問題

・個人が「ただ結びつく」ことを妨げる要因とは — A Passage to India に描かれるマイノリティーのあり方

卒業論文は2年間のゼミ活動の集大成です。



4年生の扱っている作家、作品

スコット・フィッツジェラルドグレート・ギャツビー』(Scott Fitzgerald, The Great Gatsby

オルダス・ハクスリー『すばらしき新世界』(Aldous Huxley, Brave New World

・メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』(Mary Shelley, Frankenstein

・オラウダ・イクイアーノ『アフリカ人イクイアーノの生涯の興味深い物語』(Olaudah Equiano, The Interesting Narrative of the Life of Olaudah Equiano

・イーディス・ウォートン『無垢の時代』(Edith Wharton, The Age of Innocence

L・M・モンゴメリ赤毛のアン』(Montgomery, Anne of Green Gables

・スザンナ・ケイセン『17歳のカルテ』(Susanna Kaysen, Girl, Interrupted)(原作小説、映画化作品)

 

受講生、卒業生の声

※こちらは随時更新していきます。(10月29日、昨年度4年生ゼミ長のIさんの文章追加)

4年生ゼミ長より

 このゼミでは、与えられた問題に対してゼミ生どうしでコミュニケーションを取り合い、先生のサポートもいただきながら楽しく学ぶことができます。

 現在、4年生は卒業論文の作成に力を注いでいます。私はアメリカ文学における女性作家、Edith WhartonThe Age of Innocence という作品を基に研究を進めています。世界文学ゼミということもあり、学生それぞれが興味ある分野の作品に対する研究を行っているため、新たな知識を共有しあえることは、とても刺激的であり楽しいと感じています。

 私自身、部活動に所属していますが、学業との両立も十分にできており充実した日々を送っています。その中でも留学に挑戦するゼミ生も多く所属しており、互いに高め合っていける仲間が揃う環境で学ぶことができるところも魅力的です。(Sさん)

 

3年生ゼミ長より

 Seminar in World Literature の3年次では、国境を越えて世界的に読まれている文学を取り扱い、世界文学の普遍性や特殊性について考えることが主となります。

 3年次の基本的なゼミの進め方としては、取り扱う作品をゼミ生で分担し、担当の数ページ分について口頭報告を行い、お互いの考えを聞いたり先生からご教授いただいたりして、文学への理解を深めていく、というような流れで行います。加太先生の授業を受けたことがある方は想像がしやすいかと思います。

 私は一般企業就職を希望しているのですが、卒業生の方々のキャリアは企業だけでなく教員や公務員、ワーホリに行かれた方など幅広いです。また、卒業生の方と交流する機会を設けることも計画しているので、とてもありがたく感じています。

 ゼミの自主的な活動としては、読書習慣を身に付けるため2ヶ月に1冊のペースで読書をし、そのレビューを共有するという企画を行っています。BOOK MARRYというアプリを使用しており、文大生であれば誰でも閲覧することが可能なので、気になる方は見てみてください。その他、英語力向上のために各自が目標を決め、TOEICや IELTS といった資格試験を受けるなど、自主的に学習しています。

 和やかな雰囲気ですがみな向上心が高く、加太先生の授業が好きな方にはとても向いているゼミだと思います。(Eさん)

互いの文章について検討し、コメントを書くといったグループワークを行うときもあります。

現在ワーキングホリデー中の受講生より

 私は現在大学を1年間休学し、ワーキングホリデーに来ています。急激な円安でワーホリに来ている人が増えており、競争率が高い中で刺激的な毎日を送っています。現在はローカルのレストランで働いています。
 昨年度の3年生時には、世界文学を主とし、口頭発表などを通して文学に対する理解を深めることができました。また、食事会での先輩方との交流や、ゼミで出会った友人と充実した1年を過ごしました。授業内では、ゼミ生で互いに協力し着実に知識を身につけながら学ぶことができたと感じています。
 大学4年生を休学するという形なので、卒業論文や就職活動への心配やみんなと一緒に卒業できない寂しさはありますが、海外で働き、1人で生活するという経験やたくさんの人との出会いなど貴重な体験ができ、人生の財産になると感じています。(Iさん)

 

2023年度4年生ゼミ長より 

 私は現在、国家公務員1年目で内部管理業務に携わっており、省内で働く職員を支えるお仕事をしています。

国家公務員(公務員全般的に)は法に基づいて業務を進める事が求められ、法や規則等を正確に素早く理解しなければなりません。

また、仕事上では正しい日本語を使って文章を作成する事が当たり前に求められる世界です。

 ゼミでは、大量の文章に触れ正しく理解したうえで、自分の考えを客観的な根拠に基づき説明するスキルを磨くことができます。

特に、卒業論文で自分で設定したテーマと向き合い多くの文献を読みながらひとつの結論を出した経験は、社会人でもひとつの課題に対して結論を出すことが求められるため、ゼミでの学びが仕事につながっている一例だと思います。

 社会人としてまだまだ未熟ですが、ゼミで身につけた前述したようなスキルを活かして国、社会を支える一員という自覚を持ちながら日々精進しています。(Iさん)

ゼミの概要

 

 このゼミでは世界文学の看板の下、英語圏の文化を扱っています。英語圏という言葉が指す対象はとても広いです。英語はイングランドという小さな国で生まれましたが、今では世界語のひとつです。英語原作の文学作品、文化作品だけでも膨大な量にのぼります。他方で、他の言語から翻訳され、英語圏で親しまれているものも多いです。


 このように、言語や文化は地理的な境界を越えることがあります。さらに時を越えて伝わることもあります。この越境の際に何が起こっているのか? どのような作品がどのように境界を越えるのか? これらがこのゼミでの大きな問いとなります。そんな大きな問題意識も持ちつつ、まずは個々の文学作品、文化作品に親しみ、楽しみ、真摯に向き合って、自分の考えを精確に表現することが根本になります。


 内容以外の特徴としては、大きな問題を意識しつつ細部を疎かにしないという態度が挙げられます。また、研究活動で個人で独立して活動する力は大切です。他方で、仲間の存在はさまざまな面で助けになるものですので、他の受講生と協働する力も重要です。とはいえ、言うは易く行うは難しです(私自身も修行中💦)。今はこうした態度が身に付いていなくても、一緒にがんばっていければと思っています。

 

大学案内にも載った写真で、少し演出が入っています……

www.tsuru.ac.jp